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言語活動における3つの心がけ
自分がなにか別のものごとや他者について説明する場合,
- もし自分が相手だったらどういう点に気をつけてほしいか?
- どんな部分を強調してほしいか?
というお思いやりの心と目的意識を持って説明するのが大事と考えています.ただ,これらを実践する前に前提となる心がけが3つありそれを以下紹介します.
▶ 言語活動における3つの心がけ
- 正確さ: 説明したいものごとに関しての情報を正確に捉えること
- 適切さ: 話の内容や要点を適切な言葉で捉えること
- 豊かさ: 話の内容や印象を豊かなイメージで捉えられるような言葉を選ぶこと
自分の言葉で説明するとは
銀河英雄伝説においてルパート・ケッセルリンクについてアドリアン・ルビンスキーは以下のように評しています:
「大してセンスのある観客ではなかった。俳優の演技を観察するより、自分自身のつむぎだした幻想を俳優に投影させて酔ってしまう性質」
大してセンスのある観客ではないはともかく,「自分自身のつむぎだした幻想を投影」というのは自分が物事を分析 & 説明する際に当てはまる言葉なのではと感じます.
とある消費者購買データから記述統計分析を通して何かしらのクラスターが発見できたとします.Data Generating Processが発見されたクラスターに完全に基づいているならば特段問題は感じませんが,記述統計分析におけるクラスター分類はその多くが,使用した特徴量ベクトル空間とハイパーパラメータに基づいた傾向としての分類を示すにとどまります.
データから機械的に計算された分類なので客観的な分類であると言いたくなる気持ちもわからなくないですが,特徴量の選択や距離の定義,ハイパーパラメーターの設定など分析者の恣意性が入る余地はたくさんあり,結局の所,自分が計算したクラスターが客観的になりたつものと主張するのは不可能です.計算結果として出力されたクラスターを元に分析ストーリーを組み立て他者に説明するとは,説明する自己が分析対象となる人や世界をどう見ているのかをさらけだしていると言えます.
分析はどうあがいても主観からは完全に抜け出すことはできない(= 正確さには限界がある)という「あきらめ」を持つ一方,分析ストーリが主観的なものだとはいえ後に他の分析者が検証可能な形で残すことで,自分が発見した傾向が自分という個を離れても確認できる法則=知識として成立することを目指すという「姿勢」を忘れずに持つことが重要だと思います.
最後に,Equity Premium PuzzleとかShimer Puzzleのように,モデルで予想される動きと現実のデータの動きに乖離があるときにその乖離を「パズル」と呼んでしまう人々は,「あきらめ」と「姿勢」を忘れた人々であり,「現実のデータを観察するより,自分自身のつむぎだした幻想(モデル)を現実に投影させて酔ってしまう性質」とルビンスキーに評されるんだろうなと思いました.
聞き書きと違和感(藤森裕治)
同じ村で暮らしていると言ったって、暮らしぶりはそれぞれ違います。どう書いたって、これは自分じゃないって言う人はいるもんです。いいじゃないですか、このままで。ここに書いてあるのは、あんたが何度も何度も足を運んで心に結んだ、この村の風景ですから。」
説得力のある意見文
何かしらのトピックに対して自分の意見を意見文として書き表すという言語活動は日常的に存在します. 意見文を書くときのマナーとして,意見と事実を区別しながら,「序論→本論→結論」という基本的構成で書くことが挙げられます. このマナーはマナーとして存在するのではなく,説得力を持つ意見文を書くという目的を存在根拠としています. それぞれの基本的マナーがどのように説得力に結びつくのかを以下説明します.
意見と事実の区別
議論の進行という文脈において,意見と事実は以下のような効果の違いが有ります:
- 事実: 正しさが確定している「事実」は論証しなくても議論を進められる or サーベイや論文といった客観的証拠に基づいて事実認定議論が進められる
- 意見: 受け入れられるためには論証を確認する必要がある
「地球は太陽系に属する惑星だ」という文は,太陽系とは?惑星の定義とは?と学術的に定まっています. なお,学術的定義というものも不変なものではなく,冥王星が惑星から外されたように「事実」というものも 人類の知識の進歩とともに変わっていくことには注意が必要です.
一方,「文系に進学するより理系に進学するほうが良い」という意見は,自分では正しいと思っていても,論証を確認しないと,憶測や独断に陥る可能性があります.
▶ 論証
- 論証: ある考えについて,どうして成り立つのかという根拠を挙げて説明すること
論証が説得力を持つためには,「根拠の適切さ」(何が事実か?)と「導出の適切さ」を確認する必要があります. 導出とは,根拠から論理的に結論を導き出すこと,という意味です.
論証とは,お互いの意見を正しく理解し,尊重して認めあるために必要なものです.ときおり結果として論破という形をとってしまうかもしれませんが, 「相手を論破する」は論証の本質ではありません.
序論→本論→結論という基本構成
- 序論: 問題の定義
- 本論: 問題を検討し,展開
- 結論: 自分の考えをまとめる
(注意:GitHub Accountが必要となります)