引用: 利己的な願望の現れ

公開日: 2024-08-04
更新日: 2024-08-04

安部公房「砂の女」逃走中の意識の流れにて

「お前が大好きだった,おれに行水を使わせる儀式」などと,センチメンタルに回顧し, 女への同情モードに入っている場面について,文筆家のヤマザキマリさんは以下のような読み方をしています:

  • これまで「女」と呼んでいたところ,男が女を「おまえ」と二人称で呼んでいる
  • 置き去りにして逃げたことを詫びるような気持ちもあるけど,彼はその気持ちに自分で酔っている

そして以下のように結んでいます:

  • 他者への慮りのようでありながら,それまで自分に起こったすべてをフィクションにしてしまいたいという,利己的な願望の現れなのかもしれません
  • It may be a manifestation of selfish desire, while appearing to be considerate of others, to want to turn all that has happened to oneself into fiction.


Share Buttons
Share on:

Feature Tags
Leave a Comment
(注意:GitHub Accountが必要となります)