収束の条件とCauchyの判定法

解析
収束
作者

Ryo Nakagami

公開

2025-07-02

更新日

2025-07-13

区間縮小法

定理 1 区間縮小法

閉区間 In = [an, bn]  (n = 1, 2, ⋯) において,

  1. 各区間 In がその前の区間 In − 1 に含まれ
  2. n が限りなく増すとき,区間 In の幅 bn − an が限りなく小さくなる
  3. 任意の m, n に対して,an < bm

とき,これらの各区間に共通なるただ一つの点が存在する(=各区間に共通なる数が唯一つ確定する)

ノートProof

仮定 1, 3 より

a1 ≤ a2 ≤ ⋯an ≤ ⋯bn ≤ ⋯b2 ≤ b1

数列 {an}, {bn} は有界かつ単調増加/減少であるので,

limn → ∞an = α, limn → ∞bn = β

任意の m, n に対して,an < bm であるので,

$$ \begin{align} n\to\infty &\Rightarrow \alpha \leq b_m\\ m\to\infty &\Rightarrow \alpha \leq \beta \end{align} $$

また, 仮定 2 より,任意の ϵ > 0 に対応して

bn − an < ϵ

を満たす n が存在し,

an ≤ α ≤ β ≤ bn

従って,

0 ≤ β − α < ϵ

任意の ϵ > 0 について成立するので

α = β

区間縮小法からDedekindの定理の導出

定理 2 Dedekindの定理

実数の切断 (A, B) が与えられたとき,ただ1つの数 s が存在し,s は Aの最大数 xor Bの最小数である.

ノートProof: 区間縮小法を用いた証明

A, N から一対の数 a, b を取り出して,区間 I0 = [a, b] を定義します.

$$ \frac{a+b}{2} $$

は中間の数なので,A または B のどちらか一方に属していなければなりません.この条件に応じて

$$ \begin{align} \frac{a+b}{2} \in A &\Rightarrow a_1 = \frac{a+b}{2}, b_1 = b\\ \frac{a+b}{2} \in B &\Rightarrow a_1 = a, b_1 = \frac{a+b}{2} \end{align} $$

として区間を更新していきます.

区間が更新されるたびに

$$ \begin{align} I_0\text{の幅} &= b-a\\ I_1\text{の幅} &= \frac{b-a}{2}\\ I_2\text{の幅} &= \frac{b-a}{4}\\ \vdots &\\ I_n\text{の幅} &= \frac{b-a}{2^n} \end{align} $$

となるので,

I1 ⊃ I2 ⊃ ⋯ ⊃ In ⊃ ⋯

従って,各区間に共通する数はただ1つ s と定まり,それは切断 (A, B) の上組または下組の属す必要があります.

s ∈ A とすると,任意の s > sbn → s より

s < bn < sなる bn が存在する ⇒ s ∈ B

つまり,sA の最大数であり,このとき B には最小数は存在しません.仮に,sB の最小数とすると

$$ s_0 = \frac{s^\prime - s}{2} $$

なる数を考えると,十分大きなn について任意のϵ > 0

$$ |b_n - s| < \epsilon\Rightarrow |b_n - s| < \frac{s^\prime - s}{4} $$

を満たすような bn が考えられ,このとき bn < s であるので,最小数の仮定と矛盾します.

もしも,s ∈ B であるならば,同様のロジックで s = min (B) であり,A の最大数は存在しないことになります.

Cauchyの判定法

定理 3 Cauchyの判定法

数列 {an} が収束するために必要かつ十分なる条件は,任意の ϵ > 0 に対応して n0 が定められて,

p > n0, q > n0 ⇒ |ap − aq| < ϵ

ノートProof: 高木解析概論 p12 より

必要条件

an → λ であるならば収束の定義より,ある N(ϵ) が存在して

$$ p > N(\epsilon), q > N(\epsilon) \Rightarrow |a_p - \lambda| <\frac{\epsilon}{2}, |a_q - \lambda| <\frac{\epsilon}{2} $$

従って,

$$ \begin{align} |a_p - a_q| &= |a_p - \lambda + \lambda - a_q|\\ &\leq |a_p - \lambda| + |a_q - \lambda| \,\ \because{\text{三角不等式}}\\ & < \epsilon \end{align} $$

よって,収束列はコーシー列です.

十分性

an がコーシー列であるとする:

条件より以下のように an は有界となります.

p > n0 ⇒ |ap − an0 + 1| < ϵ,  n0 は確定なので有限個の数列 {an}n = 1n0 を加えても有界

次に,任意の n について,{ak}k = n を対応させて,その数列に対応する上限と下限を ln, mn として,

In = [mn, ln]

とおくと,

$$ \begin{gather} m_1 \leq m_2 \leq \cdots \leq m_n \leq \cdots l_n \leq \cdots l_2 \leq l_1\\ I_1 \supset I_2 \supset \cdots \supset I_n \supset \cdots \end{gather} $$

ここで改めて,任意の ϵ > 0 に対応して n0 が定められて,

p > n0, q > n0 ⇒ |ap − aq| < ϵ

n > n0 とすると,上限の定義より任意の q ≥ n に対して

ln − aq < ϵ

また,下限の定義より,

aq − mn < ϵ

であるので,

ln − mn ≤ 2ϵ

ϵ > 0 は任意なので,区間 In の長さ ln − mn0 に収束し.

ln → λ, mn → λ  ∵区間縮小法

となるような λ が存在します.これは,an → λ を意味します.実際,十分大きな n について

|an − λ| ≤ ln − mn ≤ ϵ

が成立します.

無限級数の収束とCauchyの判定法

定義 1 無限級数の収束

数列 {an} の最初の n 項の和を

sn = a1 + a2 + ⋯ + an

としたとき,limn → ∞sn = s が存在するならば,無限級数 $\sum_{n=1}^\infty a_n$ は収束するといいます.

Cauchyの判定法により n を十分大きくして,任意の m > n について

|sn − sm| = |an + 1 + ⋯ + am| < ϵ

sn の収束の必要十分条件となります.故に収束の場合は,

$$ \lim_{n\to\infty}\sum_{p=1}^\infty a_{n+p} = 0 $$

となります.

limn → ∞an = 0 は無限級数収束の必要条件 but not 十分条件

Cauchyの収束条件より n を十分大きくしたとき

|sn + 1 − sn| < ϵ ⇒ limn → ∞an = 0

となりますが,逆は成り立ちません.

例えば

$$ s_n = \sum_{k=1}^n \frac{1}{k} $$

を考えると,

$$ \lim_{n\to\infty}\frac{1}{n} = 0 $$

は成立しますが,級数についてのCauchy判定条件を見てみると,n を十分大きくしても

$$ |s_{2n} - s_n| = \underbrace{\frac{1}{n+1} +\cdots +\frac{1}{2n}}_{n\text{個}} > \frac{1}{2n} \times n = \frac{1}{2} $$

となり,条件を満たさないため収束しません.実際にオイラー定数 γ を用いると以下のような関係式になります

$$ \sum_{k=1}^n = \ln N + \gamma + \omicron(1) $$

References